文学とは

2016年11月11日(金)
知識・情報を伝えるための道具が数学であるならば、心を伝えるための最古の道具が文学である。

シルバー川柳
○ この動悸 昔は恋で いま病気
○ 恋かなと 思っていたら 不静脈
○ 年かさね くしゃみするのも 命がけ
○ いびきより 静かな方が 気にかかる
○ 医者と妻 急にやさしく なる不安
○ 万歩計 半分以上 探し物
○ LED 使い切るまで 無い寿命
○ 忘れえぬ 人はいるけど 名を忘れ
○ 起きたけど 寝るまで特に 用はなし
○ お辞儀して ともによろける クラス会
○ 「アーンして」昔ラブラブ いま介護
○ 腹八分 残した二分で 薬飲む
○ 味のある 字と褒められた 手の震え
○ 誕生日 ローソク吹いて 立ちくらみ
○ まだ生きる つもりで並ぶ 宝くじ
○ 目覚ましの ベルはまだかと 起きて待つ
○ 無病では 話題に困る 老人会
○ 食べたこと 忘れぬように 持つ楊枝
○ 大事なら しまうな二度と 出てこない

 

 

都々逸

都々逸お気に入り

 

都々逸
どどいつ
俗謡の形式名。7・7・7・5の4句 26文字で男女の情愛などをうたうもの。この4句はさらに細分すると3・4,4・3,3・4,5となる場合が多い。その詞章は多くは即興で作られ,俳諧,川柳などと同じく大衆の即興文学としての意味もある。


Wikipedia 都々逸
都々逸(どどいつ)とは、江戸末期に初代の都々逸坊扇歌(1804年-1852年)によって大成された、口語による定型詩。七・七・七・五の音数律に従う。

目次

    1 概略
        1.1 作品例
    2 発祥
    3 七・七・七・五という形式について
    4 寄席芸としての都々逸
        4.1 作品例
    5 文芸形式としての都々逸
        5.1 作品例
    6 織り込み都々逸

概略

元来は、三味線と共に歌われる俗曲で、音曲師が寄席や座敷などで演じる出し物であった。 主として男女の恋愛を題材として扱ったため情歌とも呼ばれる。

七・七・七・五の音数律に従うのが基本だが、五字冠りと呼ばれる五・七・七・七・五という形式もある。
作品例

    惚れて通えば 千里も一里 逢えずに帰れば また千里(作者不詳)
    この酒を 止めちゃ嫌だよ 酔わせておくれ まさか素面じゃ 言いにくい(作者不詳)
    浮名立ちゃ それも困るが 世間の人に 知らせないのも 惜しい仲(作者不詳)
    三千世界の 鴉を殺し ぬしと添い寝が してみたい(桂小五郎説、高杉晋作説、他もあり)
    逢うて別れて 別れて逢うて(泣くも笑うもあとやさき) 末は野の風 秋の風 一期一会の 別れかな(井伊直弼 茶湯一会集)
    岡惚れ三年 本惚れ三月 思い遂げたは 三分間(作者不詳)

発祥
向かって右端が発祥の碑

扇歌が当時上方を中心に流行っていた「よしこの節」を元に、「名古屋節」の合の手「どどいつどどいつ」(もしくは「どどいつどいどい」)を取入れたという説が有力である。

名古屋節は、名古屋の熱田で生まれた神戸節(ごうどぶし)が関東に流れたもので、音律数も同じであることから、この神戸節を都々逸の起源・原形と考えるむきもある。実際、名古屋市熱田区の伝馬町には「都々逸発祥の地」碑がある。

都々逸が広まったのは、扇歌自身が優れた演じ手であっただけでなく、その節回しが比較的簡単であったことが大きい。扇歌の時代の江戸の人々は生来の唄好きであったため、誰でも歌える都々逸が江戸庶民に受け入れられ、いわば大衆娯楽として広まった。
七・七・七・五という形式について

今では、七・七・七・五という音律数自体が都々逸を指すほどだが、都々逸がこの形式のオリジナルというわけではない。都々逸節の元になったよしこの節や名古屋節の他にも、潮来節(いたこぶし)、投節(なげぶし)、弄斎節(ろうさいぶし)などの甚句形式の全国各種の民謡があげられる。

都々逸はこれらの古い唄や他の民謡の文句を取り込みながら全国に広まった。そのため、古くから歌われている有名なものの中にも別の俗謡等から拝借したと思われる歌詞がみられる。

例えば、

    恋に焦がれて 鳴く蝉よりも 鳴かぬ蛍が 身を焦がす

という歌は山家鳥虫歌にも所収されているし、松の葉にもその元歌らしき、

    声にあらわれ なく虫よりも 言わで蛍の 身を焦がす

という歌がある。

七・七・七・五はさらに(三・四)・(四・三)・(三・四)・五という音律数に分けられることが多い。この構成だと、最初と真中に休符を入れて四拍子の自然なリズムで読み下せる。

例えば、先の唄なら、

    △こいに こがれて なくせみ よりも△
    △なかぬ ほたるが みをこが す△△△

となる(△ が休符)。なお、この最初の休符は三味線の音を聞くため、との説がある。
寄席芸としての都々逸

近年の邦楽の衰退と共に、定席の寄席でも一日に一度も都々逸が歌われないことも珍しくなくなったが、少なくとも昭和の中頃までは、寄席では欠かせないものであった。即興の文句で節回しも比較的自由に歌われることも多い。

俗曲として唄われる場合は、七・七と七・五の間に他の音曲のさわりや台詞などを挟み込む「アンコ入り(別名・さわり入り)」という演じ方もある。都々逸が比較的簡単なものだけに、アンコの部分は演者の芸のみせどころでもあった。

また、しゃれやおどけ、バレ句なども数多くあるので、演者が楽器を持つ時代の漫才のネタとして、あるいはネタの形式として使われることも多かった。
作品例

    ついておいでよ この提灯に けして(消して)苦労(暗う)はさせぬから
    あとがつくほど つねっておくれ あとでのろけの 種にする
    あとがつくほど つねってみたが 色が黒くて わかりゃせぬ
    はげ頭 抱いて寝てみりゃ 可愛いものよ どこが尻やら アタマやら

文芸形式としての都々逸

元来から創作も広く楽しまれていた都々逸であったが、明治の頃から唄ものをはなれた文芸形式としても認識されるようになった。 都々逸作家と称する人々も現れ、新聞紙上などでも一般から募集されるようになった。 なかには、漢詩などのアンコ入りも試みられた。
作品例

    ねだり上手が 水蜜桃を くるりむいてる 指の先(田島歳絵)
    ぬいだまんまで いる白足袋の そこが寂しい 宵になる(今井敏夫)
    あせる気持ちと 待たない汽車と ちょっとずれてた 安時計(関川健坊鐘)
    内裏びな 少し離して また近づけて 女がひとり ひなまつり(寺尾竹雄)
    恋の花咲く ロマンの都 女ばかりに 気もそぞろ 夢もほころぶ 小意気なジルバ 君と銀座の キャフェテラス(サザンオールスターズ)

織り込み都々逸

折句の一種あたまに季節のお題などを入れつくった都々逸。NHK文芸選評で放送されている。
      

中村風迅洞著『どどいつ万葉集』(徳間書店)からの引用
ほんの一部,ホームページなどで見つけたものもあり。

・嫌なお方の親切よりも 好いたお方の無理が良い

・惚れて通えば千里も一里 逢わで帰ればまた千里

・出会い頭に頭と頭 ア痛かったと目に涙 

・酒の肴に新聞出され 見れば世間のアラばかり      

・恋に焦がれて鳴く蝉よりも 鳴かぬ蛍が身を焦がす

・猫にだまされ狐にゃ振られ ニャンでコンなにへまだろう(^^;

・帯も出来たし箪笥もできた そろそろ旦那と別れよか

・おまはんの 心ひとつでこの剃刀が 喉(のど)へいくやら眉へやら

・逢うて心のくもりも晴れて 二人眺むる蚊帳の月

・玉の輿より味噌こし持って つとめ嬉しい共稼ぎ

・肉屋の夫婦に双子が出来た これが本当のソーセージ

・浮名高砂 昔となりて いまじゃ互いに 共白髪

・咲いた桜になぜ駒繋ぐ 駒が勇めば花が散る

・三千世界のカラスを殺し 主と朝寝がしてみたい (伝:高杉晋作作)

・欄干(手すり)にもたれて化粧の水を どこに捨てよか虫の声 (伝:小松帯刀作)

・末はたもとを絞ると知らで 濡れてみたさの春の雨(伝:陸奥宗光作)

・九尺二間に過ぎたるものは 紅のついたる火吹き竹(伝:河合継之介作)

・何をくよくよ川端柳 水の流れを見て暮らす

・君と寝やろか五千石取ろか ままよ五千石君と寝よ

・たんと売れても売れない日でも 同じ機嫌の風車(伝:都々一坊扇歌作)

・寒さしのげぬあばら屋なれど 酔うて眠れば玉の床

・二十(はたち)花嫁 姑が嵐 三十葉桜 主(ぬし)が雨

色っぽい句
・楽は苦の種 苦は楽の種 二人してする人の種

・入れてもらえば気持ちはいいが ほんに気がねなもらい風呂

・梅もきらいよ桜もいやよ ももとももとの間(あい)が良い

・たった一度の注射が効いて こうも逢いたくなるものか

・横に寝かせて枕をさせて 指で楽しむ 琴の糸

・夕べしたのが今朝まで痛い 二度とするまい箱枕

・雷(らい)の光で逃げ込む蚊帳の 中でとらるるへその下










あ行
・朝寝朝酒朝湯に入れて あとはタンスにある保険 (高井平万坊[M37~]作)

・朝顔につるべとられず わしゃ密男(まおとこ)に かかをとられて もらい乳

・赤い顔してお酒を飲んで 今朝の勘定で青くなる

・熱いしるこに口とがらせて 吹けばそこだけ ちと凹む (河柳雨吉[M37~S46]作)

・諦(あきらめ)ましたよ どう諦めた 諦めきれぬと 諦めた (伝:都々一坊扇歌作)

・あついあついと言われた仲も 三月せぬ間に秋が来る

・あの人の どこがいいかと尋ねる人に どこが悪いと問い返す

・雨の降るほど噂はあれど ただの一度も濡れはせぬ

・あたまごなしに冷やかされても 赤い心でいる西瓜

・浅い心の女が前に 深いところがただ一つ

・洗ったようでも泥水育ち どこか臭みがついている

・いくら惚れても情死はいやよ 死ねば腰から下がない

・嫌なお方の親切よりも 好いたお方の無理が良い

・いやな座敷にいる夜の長さ なぜか今宵の短さは

・色はよけれど深山の紅葉 あきという字が気にかかる

・磯のあわびを九つ集め ほんに苦界(九貝)の片思い

・いやなお方の来るその朝は 三日前から熱が出る

・色が黒うて惚れ手がなけりゃ 山のカラスは後家ばかり

・意見するのは親身の人と 思いながらも恨めしい

・いやな座敷のつとめが更けりゃ 撥(バチ)であくびのふたをする

・井戸の蛙が空うち眺め 四角なものだと議論する

・今はサシスセ昔はいろは すたらぬはずだよ色の道

・今さら苦労で痩せたと言えぬ 命までもと言った口

・入れてもらえば気持ちはいいが ほんに気がねなもらい風呂

・入れておくれよかゆくてならぬ 私ひとりが蚊帳の外

・梅もきらいよ 桜もいやよ ももとももとの間(あい)が良い

・うちの亭主とこたつの柱 なくてならぬがあって邪魔

・団扇(うちわ)づかいもお客によりて あおり出すのと招くのと

・浮気うぐいす梅をばじらし わざととなりの桃に鳴く

・うどんな私にお前の辛み ながくそばにはおかれまい

・上を思えば限りがないと 下を見て咲く百合の花

・嬉しい首尾したそのあくる日は 仕事出しても手につかぬ

・浮き名高砂むかしとなりて 今じゃ互いに共白髪

・岡惚れ三年 本惚れ三月 思い遂げたは 三分間

・お前死んでも寺へはやらぬ 焼いて粉にして酒で飲む

・親の気に入り私も惚れる 粋で律儀な人はない

・帯も出来たし箪笥もできた そろそろ旦那と別れよか

・およそ世間にせつないものは 惚れた三字に 義理の二字

・お酒飲む人しんから可愛い 飲んでくだまきゃなお可愛い

・遅い帰りをかれこれ言わぬ 女房の笑顔の気味悪さ

・陸(おか)に蒸気の出来たるせいか 主(ぬし)は私をステーション

・おろすわさびと恋路の意見 きけばきくほど涙出る

・お前正宗わしゃ錆び刀 おまえ切れてもわしゃ切れぬ

・お名は申さぬ 一座の中に 命あげたい方がいる

・重い体を身にひきうけて 抜くに抜かれぬ腕枕

・逢うたその日の心になって 逢わぬその日も暮らしたい

・折々亭主がお世話になると 遠火で焦がさぬ 焼き上手

・面白いときゃお前とふたり 苦労するときゃわしゃひとり

・おまはんの 心ひとつでこの剃刀が 喉へ行くやら眉へやら

・岡惚れしたのは私が先よ 手出ししたのは主が先

・逢うて心のくもりも晴れて ふたり眺むる蚊帳の月

・重くなるとも持つ手は二人 傘に降れ降れ夜の雪

・鬼が餅つきゃ閻魔がこねる そばで御地蔵がなめたがる
・赤い顔してお酒を飲んで 今朝の勘定で青くなる

・あきらめましたよどう諦めた あきらめられぬとあきらめた

・朝寝朝酒朝湯に入れて あとはタンスにある保険

・朝顔につるべとられずわしゃ密男(まおとこ)に かかをとられてもらい乳

・熱いしるこに口とがらせて 吹けばそこだけちと凹む

・あついあついと言われた仲も 三月せぬ間に秋が来る

・あの人のどこがいいかと尋ねる人に どこが悪いと問い返す

・雨の降るほど噂はあれど ただの一度も濡れはせぬ

・意見するのは親身の人と 思いながらも恨めしい

・異(意)見きく時ゃ頭(つむり)を下げな 下げりゃ異見が上を越す

・嫌なお方の親切よりも 好いたお方の無理が良い

・いやな座敷にいる夜の長さ なぜか今宵の短さは

・色はよけれど深山の紅葉 あきという字が気にかかる

・磯のあわびを九つ集め ほんに苦界(九貝)の片思い

・いやなお方の来るその朝は 三日前から熱が出る

・いやな座敷のつとめが更けりゃ 撥(バチ)であくびのふたをする

・井戸の蛙が空うち眺め 四角なものだと議論する

・今はサシスセ昔はいろは すたらぬはずだよ色の道

・今さら苦労で痩せたと言えぬ 命までもと言った口

・入れてもらえば気持ちはいいが ほんに気がねなもらい風呂

・入れておくれよかゆくてならぬ 私ひとりが蚊帳の外

・梅もきらいよ 桜もいやよ ももとももとの間(あい)が良い

・うちの亭主とこたつの柱 なくてならぬがあって邪魔

・浮気うぐいす梅をばじらし わざととなりの桃に鳴く

・うどんな私にお前の辛み ながくそばにはおかれまい

・上を思えば限りがないと 下を見て咲く百合の花

・嬉しい首尾したそのあくる日は 仕事出しても手につかぬ

・浮き名高砂むかしとなりて 今じゃ互いに共白髪

・お前死んでも寺へはやらぬ 焼いて粉にして酒で飲む

・帯も出来たし箪笥もできた そろそろ旦那と別れよか

・およそ世間にせつないものは 惚れた三字に 義理の二字

・お酒飲む人しんから可愛い 飲んでくだまきゃなお可愛い

・遅い帰りをかれこれ言わぬ 女房の笑顔の気味悪さ

・陸(おか)に蒸気の出来たるせいか 主(ぬし)は私をステーション

・おろすわさびと恋路の意見 きけばきくほど涙出る

・お前正宗わしゃ錆び刀 おまえ切れてもわしゃ切れぬ

・重い体を身にひきうけて 抜くに抜かれぬ腕枕

・逢うたその日の心になって 逢わぬその日も暮らしたい

・折々亭主がお世話になると 遠火で焦がさぬ焼き上手

・面白いときゃお前とふたり 苦労するときゃわしゃひとり

・おまはんの心ひとつでこの剃刀が 喉へ行くやら眉へやら

・岡惚れしたのは私が先よ 手出ししたのは主が先

・重くなるとも持つ手は二人 傘に降れ降れ夜の雪

・鬼が餅つきゃ閻魔がこねる そばで御地蔵がなめたがる

か行

・可哀そうだよズボンのおなら 右と左に泣きわかれ

・可愛いお方に謎かけられて 解かざなるまいしゅすの帯

・顔見りゃ苦労を忘れるような 人がありゃこそ苦労する

・帰しともないお方は帰り 散らしともない花は散る

・傘を忘れて戻った若さ 帰りにカバンを置いてくる(春木仙十)

・可愛ゆけりゃこそ七里もかよへ 憎くて七里が通わりょか

・君と寝やろか五千石とろか ままよ五千石君と寝よ

・君は吉野の千本桜 色香よけれどきが多い

・君は野に咲くあざみの花よ 見ればやさしや寄れば刺す

・切れてくれなら切れてもやろう 逢わぬ昔にして返せ

・気障(きざ)なお客と井に沸く水は 金気(かねけ)なくなりゃ茶にされる

・金の屏風に墨絵の牡丹 中に二人の狂い獅子

・義理も人情ももうこの頃は 捨てて逢いたい欲ばかり

・義理や人情が守れるならば 恋は思案の外じゃない

・口でけなして心で褒めて 人目しのんで見る写真

・くじも当たらす出世もなくて 今日を生きてる運のよさ(春木仙十)

・苦労する身は何いとわねど 苦労し甲斐のあるように

・愚痴もいうまいりん気もせまい 人の好く人持つ苦労

・けんかしたときこの子をごらん 仲のよいとき出来た子だ

・恋に焦がれて鳴く蝉よりも 鳴かぬ蛍が身を焦がす

・戀(こい)という字を分析すれば 糸し糸しと言う心

・こうしてこうすりゃこうなるものと 知りつつこうしてこうなった

・これほど惚れたる素振りをするに あんな悟りの悪い人

・小唄どどいつなんでもできて お約束だけ出来ぬ人

・小指切らせてまだ間もないに 手まで切れとは情けない

・米の高い時双子を生んで お米(よね)お高と名をつけた

・この雪によく来たものと互いに積もる 思いの深さを差してみる

・拒む気はない一言馬鹿と 肩へ廻した手を叱る
・可哀そうだよズボンのおなら 右と左に泣きわかれ

・可愛いお方に謎かけられて 解かざなるまい しゅすの帯

・顔見りゃ苦労を忘れるような 人がありゃこそ苦労する

・帰しともないお方は帰り 散らしともない花は散る

・君と寝やろか五千石とろか ままよ五千石 君と寝よ

・君は吉野の千本桜 色香よけれど きが多い

・君は野に咲くあざみの花よ 見ればやさしや寄れば刺す

・切れてくれなら切れてもやろう 逢わぬ昔にして返せ

・気障(きざ)なお客と井に沸く水は 金気(かねけ)なくなりゃ茶にされる

・金の屏風に墨絵の牡丹 中に二人の狂い獅子

・義理も人情ももうこの頃は 捨てて逢いたい欲ばかり

・義理や人情が守れるならば 恋は思案の外じゃない

・九尺二間に過ぎたるものは 紅のついたる火吹き竹(伝:河合継之助作)

・口でけなして心で褒めて 人目しのんで見る写真

・口の車はのろまを乗せて そうして三筋の糸でひく

・苦労する身は何いとわねど 苦労し甲斐のあるように

・愚痴もいうまい りん気もせまい 人の好く人持つ苦労

・けんかしたとき この子をごらん 仲のよいとき出来た子だ

・芸者ひかせて眉毛を剃らせ 小町水でも売らせたい

・これほど惚れたる素振りをするに あんな悟りの悪い人

・恋に焦がれて鳴く蝉よりも 鳴かぬ蛍が身を焦がす

・戀(こい)という字を分析すれば 糸し糸しと言う心

・小唄どどいつなんでもできて お約束だけ出来ぬ人

・小指切らせてまだ間もないに 手まで切れとは 情けない

・米の高い時双子を生んで お米(よね)お高と名をつけた

・この雪に よく来たものと 互いに積もる 思いの深さを 差してみる

・こうしてこうすりゃこうなるものと 知りつつこうしてこうなった(伝:都々一坊扇歌作)

・このまま死んでもいい極楽の 夢を埋める雨の音(亀屋忠兵衛[M30~S51]作)

・酒の肴に新聞出され 見れば世間のアラばかり

・咲いた桜になぜ駒繋ぐ 駒が勇めば花が散る

・三千世界のカラスを殺し 主と朝寝がしてみたい(伝:高杉晋作作)

・廓(さと)で苦労を積んだる夜具に まさる世帯の 薄布団

・酒は飲みとげ浮気をし遂げ 儘(まま)に長生きし遂げたい

・察しておくれよ 花ならつぼみ 咲かぬところに味がある

・咲いた花なら散らねばならぬ 恨むまいぞえ小夜(さよ)嵐

・寒さしのげぬあばら屋なれど 酔うて眠れば玉の床

・ざんぎり頭を叩いてみれば 文明開花の音がする

・信州信濃の新ソバよりも わたしゃお前のそばが良い

・信州信濃の新ソバよりも わたしゃ「角源」の蕎麦が好き(^^;

・新橋芸者と美校のやつは 色とちょうしで苦労する

・初手は冗談 中頃義理で 今じゃ互いの 実と実

・白だ黒だとけんかはおよし 白という字も墨で書く

・末はたもとを絞ると知らで 濡れてみたさの 春の雨(伝:陸奥宗光作)

・すねてかたよる布団のはずれ 惚れた方から機嫌とる

・好きと嫌いが一度に来れば ほうき立てたり倒したり

・船頭殺すに刃物はいらぬ 雨の十日も降ればよい

・千両万両の金には惚れぬ お前一人に わしゃ惚れた

・添うて苦労は覚悟だけれど 添わぬ先からこの苦労


さ行

・酒の肴に新聞出され 見れば世間のアラばかり

・三千世界のカラスを殺し 主と朝寝がしてみたい

・廓(さと)で苦労を積んだる夜具に まさる世帯の薄布団

・察しておくれよ花ならつぼみ 咲かぬところに味がある

・咲いた花なら散らねばならぬ 恨むまいぞえ小夜嵐

・寒さしのげぬあばら屋なれど 酔うて眠れば玉の床

・ざんぎり頭を叩いてみれば 文明開花の音がする

・信州信濃の新ソバよりも わたしゃお前のそばが良い

・白だ黒だとけんかはおよし 白という字も墨で書く

・末はたもとを絞ると知らで 濡れてみたさの 春の雨

・すねてかたよる布団のはずれ 惚れた方から機嫌とる

・好きと嫌いが一度に来れば ほうき立てたり倒したり

・船頭殺すに刃物はいらぬ 雨の十日も降ればよい

・添うて苦労は覚悟だけれど 添わぬ先からこの苦労

た行

・たった一度の注射が効いて こうも逢いたくなるものか

・立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は 百合の花 

・たとえ姑が鬼でも蛇でも ぬしを育てた親じゃもの

・たったふたつの えくばにはまり いまじゃ諸方に 穴だらけ

・たとえ泥田の芹にもさんせ こころ洗えば 根は白い

・たんと売れても売れない日でも 同じ機嫌の風車(伝:都々一坊扇歌作)

・玉子酒した報いか今朝は はやく別れの鶏が鳴く

・たとえどのよな風吹くとても よそへなびくな糸柳

・便りあるかと聞かれる度に 別れましたと言うつらさ

・玉の輿より味噌漉し持って つとめ嬉しい共稼ぎ

・旦那の忘れた煙管(キセル)で下女の 部屋から火の手が燃え上がる

・大小差したる旦那さんよりも 似合うた百姓の殿が良い

・出し抜かれては身は痩せ細る 鰹節ではありゃせまい

・猪口々々(チョクチョク)逢う夜をひとつにまとめ 徳利(トックリ)話がしてみたい

・丁と張らんせ もし半出たら わしを売らんせ 吉原へ

・ちらりちらりと降る雪さえも 積もり積もりて深くなる

・積もる話が仰山おすえ  それに今夜は雪どすえ (久米呉船[M44~S32]作)

・つとめする身と お庭の灯篭 晩にゃ誰(た)が来て とぼすやら

・つとめする身は 田ごとの月よ どこへまことが 映るやら 

・月に村雲 花には嵐 思うお方は女房持ち

・積もる思いに いつしか門の 雪が隠した 下駄の跡

・つねりゃ紫 喰いつきゃ紅よ 色で固めたこの体

・面の憎さよ あのきりぎりす 思い切れ切れ切れと鳴く

・欄干(てすり)にもたれて化粧の水を どこに捨てよか 虫の声(伝:小松帯刀作)

・手に手をつくした おもとが枯れて ちょいと挿した柳に 芽がふいた

・出会いがしらに頭と頭 ア痛かったと目に涙

・出来たようだと心で察し 尻に手をやる 燗徳利

・泥水上がりじゃ世帯は持てぬ 朝寝浮気に茶碗酒

・どこで借りたと 心も蛇の目 傘の出どこをきいてみる

・どうせ互いの身は錆び刀 切るに切られぬ くされ縁

・土手の芝 人に踏まれて一度は枯れる 露の情けで よみがえる

・なんの因果で他人がいとし 育てられたる親よりも

・泣かざなるまい野に住む蛙 みずにあわずに いられよか

・何をくよくよ川端柳 水の流れを見て暮らす 

・泣いた拍子に覚めたが悔しい 夢と知ったら泣かぬのに

・長い着物を短く着ても 心で錦の綾を織る

・長の年期を一枚紙に 封じこめたる 身の因果

・肉屋の夫婦に双子が出来た これが本当の ソーセージ

・庭の松虫 音(ね)をとめてさえ もしや来たかと 胸さわぎ

・二世も三世も添おうと言わぬ この世で添えさえすればいい

・ぬしと私は玉子の仲よ わたしゃ白身で きみを抱く

・主は二十一 わしゃ十九 四十仲良く 暮らしたい

・ぬしによう似たやや子を生んで 川という字に寝てみたい

・主はいまごろ 醒めてか寝てか 思いだしてか 忘れてか

・主がじゃけんに抜け出た朝は あとでふくれている布団

・猫にゃだまされ 狐にゃふられ ニャンでコンなにへまだろう

・寝ればつんつん 座れば無心 立てば後ろで 舌を出す

・軒に吊られた わしゃ風鈴よ なるも鳴らぬも 風次第

・のろけどころか 今日この頃は 息がかよっているばかり

・野辺の若草 摘み捨てられて 土に思いの根を残す・高砂祝って誓った初夜が 婆と爺とになる門出

・たった一度の注射が効いて こうも逢いたくなるものか

・立てば芍薬座れば牡丹 歩く姿は百合の花 

・たとえ姑が鬼でも蛇でも ぬしを育てた親じゃもの

・たったふたつのえくぼにはまり いまじゃ諸方に穴だらけ

・たとえ泥田の芹にもさんせ こころ洗えば根は白い

・たんと売れても売れない日でも 同じ機嫌の風車

・玉子酒した報いか今朝は はやく別れの鶏が鳴く

・便りあるかと聞かれる度に 別れましたと言うつらさ

・玉の輿より味噌漉し持って つとめ嬉しい共稼ぎ

・旦那の忘れた煙管で下女の 部屋から火の手が燃え上がる

・大小差したる旦那さんよりも 似合うた百姓の殿が良い

・猪口々々(チョクチョク)逢う夜をひとつにまとめ 徳利(トックリ)話がしてみたい

・丁と張らんせもし半 出たら わしを売らんせ吉原へ

・ちらりちらりと降る雪さえも 積もり積もりて深くなる

・積もる話が仰山おすえ  それに今夜は雪どすえ

・つとめする身とお庭の灯篭 晩にゃ誰(た)が来てとぼすやら

・積もる思いにいつしか門の 雪が隠した下駄の跡

・つねりゃ紫喰いつきゃ紅よ 色で固めたこの体

・面の憎さよあのきりぎりす 思い切れ切れ切れと鳴く

・欄干(てすり)にもたれて化粧の水を どこに捨てよか虫の声

・出来たようだと心で察し 尻に手をやる燗徳利

・どこで借りたと心も蛇の目 傘の出どこをきいてみる

・どうせ互いの身は錆び刀 切るに切られぬくされ縁

な行
・春のひと日をつい飲みたおれ 花とふたり寝して戻る

・春の鴬(うぐいす) 何着て寝やる 花を枕に 葉をかけて

・二十(はたち)花嫁 姑が嵐 三十葉桜 主(ぬし)が雨

・花は咲いても身は山吹よ ほんに実になる人がない

・鼻先ばかりをお客に打って 間夫(まぶ)にゃ心の底を売る

・薔薇も牡丹も枯れれば一つ 花でありゃこそ 分け隔て

・撥(ばち)を持つ手に 今日火吹き竹 なれぬ勝手の忙しさ

・一人笑うて暮らそうよりも 二人涙で暮らしたい

・火のし片手に羽織のしわを それといわずに当てこすり

・ひとりで差したる から傘なれば 片袖濡れよう筈がない

・久しぶりだよ一番やろう 早く出しなよ 将棋板

・日に増しおかずのまずいにつけて 元の主人を思い出す

・人の口には戸は立てながら 門を細めに開けて待つ

・不二の雪さえとけるというに 心ひとつが とけぬとは

・ふとした初会であいぞめ橋が 今じゃお前を松屋橋

・富士の山ほどお金を積んで それをそばから使いたい

・下手な易者とわたしの恋は あわでこの世を過ごしてる

・惚れた数から振られた数を 引けば女房が残るだけ

・ほれた証拠はお前の癖が いつか私のくせになる

・惚れて通えば千里も一里 逢わで帰ればまた千里

・ほんにうれしい目の正月よ 年始の途中で主に遭う

・惚れた女房に腹探られて 痛い思いをする果報

・星の数ほど男はあれど 月と見るのはぬしばかり

・ほんにお前が酒好きゆえに わたしゃ餅焼く世話がない

・惚れさせ上手なあなたのくせに あきらめさせるの下手な方

・丸い玉子も切りよで四角 ものも言いようで角がたつ

・枕出せとは つれない言葉 そばにある膝 知りながら

・ままにならぬと おひつを投げた あたり近所が ままだらけ

・ままよままよで半年暮らす あとの半年 寝て暮らす

・MACなお方に問いかけられて 解かざなるまいLZH(pyunchon.jr 作)

・まさかそれとも言いだしかねて 娘伏し目で 赤い顔

・昔馴染みとつまずく石は 憎いながらも あとを見る

・妾(めかけ)という字を分析すれば 家に波風立つ女

・もしもこのままこがれて死ねば こわくないよに化けて出る

・山のあけびは何見てひらく 下の松茸見てひらく

・昨夜(ゆうべ)玉子をつぶした報い きみをかえせと鶏がなく

・雪をかぶって寝ている竹を 来ては雀がゆりおこす

・ゆうべしたのが今朝まで痛い 二度とするまい 箱枕

・夢で戸叩く うつつで開ける そこで狐が コンと鳴く

・雪の化粧はさらりとやめて 素肌自慢の夏の富士

・横に寝かせて枕をさせて 指で楽しむ 琴の糸

・洋服姿がズボンとはまり 袖ないお前で苦労する

・よその夢見る浮気な主に 貸してくやしい膝まくら

・楽は苦の種 苦は楽の種 二人してする人の種

・雷(らい)の光で逃げ込む蚊帳の 中でとらるるへその下

・わたしゃお前に火事場のまとい 振られながらも熱くなる

・わたしゃ奥山 一もと桜 八重に咲く気はさらにない

・わけりゃ二つの朝顔なれど 一つにからんで花が咲く

・わしとおまえは羽織の紐よ 固く結んで 胸に置く

・泣かざなるまい野に住む蛙 みずにあわずにいられよか

・泣いた拍子に覚めたが悔しい 夢と知ったら泣かぬのに

・ながい話をつづめていへば 光源氏が生きて死ぬ

・なんの因果で他人がいとし 育てられたる親よりも

・何度拭いてもおんなじガラス 曇りは自分の顔にある(田山アサ子)

・庭の松虫音(ね)をとめてさえ もしや来たかと胸さわぎ

・ぬしと私は玉子の仲よ わたしゃ白身できみを抱く

・主は二十一わしゃ十九 四十仲良く暮らしたい

・主がじゃけんに抜け出た朝は あとでふくれている布団

・猫にゃだまされ狐にゃふられ ニャンでコンなにへまだろう

・寝ればつんつん座れば無心 立てば後ろで舌を出す

・軒に吊られたわしゃ風鈴よ なるも鳴らぬも風次第

・野辺の若草 摘み捨てられて 土に思いの根を残す

は行
・花もどうやら紐とく頃は とかく人目につくわいな

・恥ずかしいぞえ牡丹の花を 見に行く私は鼻が獅子

・裸で寝たとて惚れたじゃないよ お前のしらみがうつるから

・春のひと日をつい飲みたおれ 花とふたり寝して戻る

・花は咲いても身は山吹よ ほんに実になる人がない

・撥(ばち)を持つ手に今日火吹き竹 なれぬ勝手の忙しさ

・腹の立つときゃこの子を見やれ 仲のよいとき出来た子じゃ

・一人笑うて暮らそうよりも 二人涙で暮らしたい

・火のし片手に羽織のしわを それといわずに当てこすり

・ひとりで差したるから傘なれば 片袖濡れよう筈がない

・久しぶりだよ一番やろう 早く出しなよ将棋板

・人の口には戸は立てながら 門を細めに開けて待つ

・不二の雪さえとけるというに 心ひとつがとけぬとは

・下手な易者とわたしの恋は あわでこの世を過ごしてる

・惚れた数からふられた数を 引けば女房が残るだけ

・ほれた証拠はお前の癖が いつか私のくせになる

・惚れて通えば千里も一里 逢わで帰ればまた千里

・惚れて悪けりゃ見せずにおくれ ぬしのやさしい心意気

・ほんにうれしい目の正月よ 年始の途中で主に遭う

・惚れさせ上手なあなたのくせに あきらめさせるの下手な方

ま行

・枕出せとはつれない言葉 そばにある膝知りながら

・まさかそれとも言いだしかねて 娘伏し目で赤い顔

・ままにならぬとおひつを投げた あたり近所がままだらけ

・ままよままよと半年暮らす あとの半年寝て暮らす

・丸い玉子も切りよで四角 ものも言いようで角がたつ

・昔馴染みとつまずく石は 憎いながらもあとを見る

・胸にあるだけ言わせておくれ 主の言いわけあとで聞く

・妾という字を分析すれば 家に波風立つ女

・もしもこのままこがれて死ねば こわくないよに化けて出る

や行

・山のあけびは何見てひらく 下の松茸見てひらく

・昨夜(ゆうべ)玉子をつぶした報い きみをかえせと鶏がなく

・ゆうべしたのが今朝まで痛い 二度とするまい箱枕

・雪がつもれば思ひもつもる きみの足跡待つほどに

・横に寝かせて枕をさせて 指で楽しむ琴の糸

・よその夢見る浮気な主に 貸してくやしい膝まくら

ら行・わ行

・雷(らい)の光で逃げ込む蚊帳の 中でとらるるへその下

・楽は苦の種苦は楽の種 二人してする人の種

・わけりゃ二つの朝顔なれど 一つにからんで花が咲く

・わしとおまえは羽織の紐よ 固く結んで胸に置く

・わたしゃお前に火事場のまとい 振られながらも熱くなる

・割れたとたんに愛着わいた 湯飲み手のひらしばし置く(春木仙十)














都々逸の本紹介
古典都々逸から現代都々逸まで、都々逸の全体像を知るのに最適な一冊・・・【山椒読書論(113)】
【amazon 『二十六字詩 どどいつ入門』 カスタマーレビュー 2012年3月24日】 山椒読書論(113)

都々逸というのは、男女間の情などを7・7・7・5調にまとめ、三味線の伴奏でうたわれる俗曲である。

『二十六字詩 どどいつ入門――古典都々逸から現代どどいつまで』(中道風邪迅洞著、徳間書店。出版元品切れだが、amazonなどで入手可能)は、都々逸の全体像を知るのに最適な一冊である。

私が好きな古典都々逸を挙げてみる。
●恋にこがれて なく蝉よりも なかぬ蛍が 身をこがす
●惚れたしよ(ょ)うこにや(ゃ) お前のくせが みんなわたしが くせとなる
●逢うて間もなく はや東雲(しののめ)の 憎やからすが 告げわたる
●あきらめましたよ どう諦めた あきらめきれぬと あきらめた
●枕出せとは つれない言葉 そばにある膝 しりながら
●信州信濃の 新蕎麦よりも わたしや(ゃ)お前の そばがよい
●いやなお客の 親切よりも 好いたお方の 無理がよい
●顔見りや(ゃ)苦労を 忘れるような 人がありや(ゃ)こそ 苦労する
●惚れさせ上手な あなたのくせに 諦めさせるの 下手な方
●思い切られぬ 心が不思議 これだけ不実を されながら
●君と寝ようか 五千石とろか ままよ五千石 君と寝よ

私好みの現代都々逸も挙げておこう。
●けつ(っ)きよ(ょ)く最後は 瞼を閉じる 女のしあわせ ふしあわせ(尾藤三柳)
●言えばよかった ただ好きですと 飲んでくやしさ ますの酒(山口まどか)
●とれば小さく わたしと言つ(っ)て 黙る電話の 凍る夜(西月日出子)
●妻と書かれて ゆらいだ心 遊びでなくなる 今朝の宿(島田紗堂)
●やっと眠って 吾が子がはなす はずむ乳房を ダーリンへ(小川丙午老)

 
この本には収録されていないが、
●さびしがりやが 一升さげて さびしがりやに 逢いにくる
●酒の相手に 話の相手 苦労しとげて 茶の相手


古典どどいつ紹介シリーズ 1「心意気」
投稿者: kaigenji (49歳/男性/千葉県jp)     1999/ 9/26 0:13
メッセージ: 130 / 5160

心意気という日本語ほどほかの言葉に置き換えにくいものは無いといったら、そんなことを解説するのは野暮だといわれた。その野暮がまたホンヤクしにくいではないか。野暮の反対は粋だろう。明治二十五年刊の『粋』に載っている都都逸「川竹ながらも節あるわたし金で操を買えはせぬ」これが心意気というものであろう。

一寸も はなれまいぞと 思うた仲は 主も五分なら わしも五分

丁とはらんせ もし半でたら わしを売らんせ 吉原へ

中道風迅洞著・風迅洞私選どどいつ万葉集より

私が私淑する中道風迅洞氏の著わした「風迅洞私選どどいつ万葉集」では古典都都逸を十一の巻に分類して掲載しています。それぞれの巻に添えられたコメントと各巻にあげられた代表的な都都逸を紹介したいと思います。


古典どどいつ紹介シリーズ 2「ごもっともの歌」
投稿者: kaigenji (49歳/男性/千葉県jp)     1999/ 9/26 0:14
メッセージ: 131 / 5160
 
どどいつは共感の歌、思い当たりの歌である。歳月を超えて凡俗の心を打つものはちまたに生きる仲間たちの本音のつぶやきである。すべての都都逸が心意気の歌であるように、すべての共鳴の歌は「ごもっともの歌」であると私は思う。

親の気に入り 私も惚れる 粋で律儀な 人はない

いろの恋のと さてやかましい 人のせぬ事 するじゃなし

中道風迅洞著・風迅洞私選どどいつ万葉集より



古典どどいつ紹介シリーズ 3「恋ごころ」
投稿者: kaigenji (49歳/男性/千葉県jp)     1999/ 9/26 0:16
メッセージ: 132 / 5160


恋こころにコメントをつけるぐらい愚かなことはない。編者の蛇作(?)を付けるにとどめよう。
「まさか言えない燃えてるなどと このときゃ口惜しい年の功」

逢えば笑うて 別れにゃ泣いて うわさ聞いては 腹立てる

惚れて惚れられ なお惚れ増して これより惚れよが あるものか

中道風迅洞著・風迅洞私選どどいつ万葉集より



古典どどいつ紹介シリーズ 4「未練」
投稿者: kaigenji (49歳/男性/千葉県jp)     1999/ 9/27 4:56
メッセージ: 133 / 5160


どどいつは未練の文学であり、また敗者の文芸であると私は書いたことがある。「未練」という無形の情動は「うしろ髪」という搬送波(サブキャリア)にのって、人の体から思いのある方角へ脱け出していくようだ。また風迅洞の蛇足一句。
「他人の空似とわかった背へ 未練がついてく五歩六歩」

おまえ正宗 わしゃ錆び刀 おまえ切れても わしゃ切れぬ

主は今ごろ さめてか寝てか 思い出してか 忘れてか

中道風迅洞著・風迅洞私選どどいつ万葉集より



古典どどいつ紹介シリーズ 5「花柳艶歌」
投稿者: kaigenji (49歳/男性/千葉県jp)     1999/ 9/27 4:57
メッセージ: 134 / 5160

 昭和10年6月、日本の韻律を愛したジョルジュボノー博士が東京で行った講演のなかに、「都都逸は芸者という運河によって深く日本の伝統に滲み入り、切っても切れない関係にある形式で、人間の生活感情の表れとしては実に驚くべき豊富さを具えている」と述べている。「男と女」「女と男」の運河を歌い、運河が歌った情歌の真骨頂である。

笑うて悲しい 座敷をぬけて 泣いてうれしい 主のそば

お名は申さぬ 一座の中に いのちあげたい方がある

中道風迅洞著・風迅洞私選どどいつ万葉集より



古典どどいつ紹介シリーズ 6「四季有情」
投稿者: kaigenji (49歳/男性/千葉県jp)     1999/ 9/27 4:58
メッセージ: 135 / 5160


鶯亭金升著述の『都都逸独稽古』の序に「俳題は情歌には無理なるものあれど四季より先にせざれば成らざるを以て今度春夏秋冬を出しぬ云々」とある。三十一字であれ十七字であれ二十六字であれ、日本の歌心の根底に雪月花はある。古典都都逸に一番多いのはやはり四季有情である。

咲いた花なら 散らねばならぬ 恨むまいぞえ 小夜嵐

露のなさけを ただ身にうけて 恋の闇路を とぶ蛍

軒の雫に 秋風しみて あわれもよおす 雁の声

雪の庭口 誰が踏み分けて 二の字くずしの下駄の跡

中道風迅洞著・風迅洞私選どどいつ万葉集より



古典どどいつ紹介シリーズ 7「所帯哀歓」
投稿者: kaigenji (49歳/男性/千葉県jp)     1999/ 9/27 4:59
メッセージ: 136 / 5160
 
なにがなんでも添わねばならぬ 添うて苦労がしてみたい(音曲神戸節・ごうどぶし)
庭に散り敷く松葉を見ても 二人に添う日があるのやら(なみ路)
この二つの歌の間には百五十年の時の流れがある。「勤めする身のかなわぬ夢」も「浴衣二枚が物干し竿に」並ぶのもしがない女の土俵入りであった。所帯(世帯)という原点は、のちの現代家庭どどいつへとつながるのである。

苦労しとげた 嬉しい息を 火吹竹から 吹いて出す

夫婦喧嘩は 三日の月よ 一夜ひと夜に 円くなる

中道風迅洞著・風迅洞私選どどいつ万葉集より



どどいつ 8「しゃれ・おどけ・笑い」
投稿者: kaigenji (49歳/男性/千葉県jp)     1999/ 9/27 5:12
メッセージ: 137 / 5160


短歌にも近づくことができるし、俳句・川柳の境地を歌うこともできる都都逸の振幅のひろさのなかに、よりストレートでものおじしない野性の笑いこそ、そして飾らないしゃれとおどけこそ、この詩型のしたたかな「とりで」の一つではあるまいか。これを本音で喜びながら建て前でしりぞける人が多い。そういう紳士へのショック療法の一つとして私の門下のケッ作をお目にかけよう。
「鳴らすおならの七つの音いろ 長く続かず中身でる(万茶)

主は二十一 わたしは十九 四十仲良く 暮らしたい

まさかそれとも 言い出しかねて 娘伏し目で 赤い顔

中道風迅洞著・風迅洞私選どどいつ万葉集より



古典どどいつ紹介シリーズ 9「ばれ句・バレ歌」
投稿者: kaigenji (49歳/男性/千葉県jp)     1999/ 9/27 5:14
メッセージ: 138 / 5160


淫猥なことを「ばれ」という語源を私は知らない。どどいつのばれ句には、結び句の五文字でほこ先をそらす、一種の謎落ちが定石で、唄い終わって喝采が来るのはそこのところであり、歌い手と聞き手のうしろめたさの解放でもあるのだと思う。「春歌」と言えば何となく品がよさそうだが、もっと淫らでヒワイな共感は俗謡民歌、千古不滅の底流である。

二人手をとり 静かに乗りな 行くも行かぬも 棹次第

ゆうべしたのが 今朝まで痛い 二度とするまい 箱枕

中道風迅洞著・風迅洞私選どどいつ万葉集より



古典どどいつ紹介シリーズ 10「地名情歌」
投稿者: kaigenji (49歳/男性/千葉県jp)     1999/ 9/27 5:17
メッセージ: 139 / 5160
 
一言でいえば昔のご当地ソングである。今歌われている演歌の歌詞と古典都都逸の一句をつなげて歌えるのに気づく。例をあげるのは作詞者に失礼と思い、古い都都逸を二つ組み合わせてブルースを歌ってみる。
つもる話は世間もしんと 日本橋にも夜の月
心墨田に言問いたいと 寒さいとわず向島・・

どこの帰りと いざ言問わん 花見もどりの この団子

明石て嬉しく 舞子の千鳥 闇に須磨して 淡路島

中道風迅洞著・風迅洞私選どどいつ万葉集より

下のタイトル 古典どどいつ紹介シリーズ 9です。



古典どどいつ紹介シリーズ 11「新時代」
投稿者: kaigenji (49歳/男性/千葉県jp)     1999/ 9/27 5:19
メッセージ: 140 / 5160

 文明開化を迎えて都都逸はざわめきたった。明治十年代のおびただしい「開化どどいつ」本には自由、民権から電気、汽車、通信、洋装など洋風思想と生活風俗が氾濫した。そして情歌の中味はちつとも変わっていない。(この時期の多数の歌は)どどいつが時流をすくう二十六字の器であった時代の里程標といえる。

恋の重荷を 車にのせて 胸で火をたく 陸蒸気

わたしゃろうそく しんから燃える 主はランプで 口ばかり

中道風迅洞著・風迅洞私選どどいつ万葉集より

古典どどいつ紹介シリーズ おわり。











都々逸傑作選
   
七・七・七・五の言葉遊び、都々逸に挑戦してみませんか?
不景気だらけの世の中だけど、せめて心だけは「粋」に行こうじゃないですか。
例題としてワタクシメが選んだ都々逸20作品をお届けします。
きっとどこかで聞いたことのあるフレ-ズだとおもいます。
みなさんの投稿をお待ちしております。

♪ あついあついと 言われた仲も 三月せぬ間に 秋が来る
♪ あの人の どこがいいかと 尋ねる人に どこが悪いと 問い返す
♪ 色が黒うて 惚れてがなけりゃ 山のカラスは 後家ばかり
♪ うつの亭主と こたつの柱 なくてならぬが あって邪魔
♪ 面白いときゃ お前とふたり 苦労するときゃ わしゃひとり
♪ 可哀相だよ ズボンのおなら 右と左に 泣きわかれ
♪ けんかしたとき この子をごらん 仲のよいとき 出来た子だ
♪ 恋に焦がれて 鳴く蝉よりも 鳴かぬ蛍が 身を焦がす
♪ 白だ黒だと けんかはおよし 白という字も 墨で書く
♪ 土手の芝 人に踏まれて 一度は枯れる 露の情けで よみがえる
♪ 肉屋の夫婦に 双子が出来た これがほんとの ソ-セ-ジ
♪ ぬしと私は 玉子の仲よ わたしゃ白身で きみを抱く
♪ 薔薇も牡丹も 枯れればひとつ 花でありゃこそ 分け隔て
♪ 惚れた数から 振られた数を 引けば女房が 残るだけ
♪ 丸い玉子も 切りよで四角 ものも言いよで 角がたつ
♪ 昔馴染みと つまずく石は 憎いながらも あとを見る
♪ 山のあけびは 何見てひらく 下の松茸 見てひらく
♪ 楽は苦の種 苦は楽の種 二人してする 人の種
♪ わたしゃお前に 火事場のまとい 振られながらも 熱くなる
♪ 星の数ほど 男はあれど 月と見るのは ぬしばかり



明治期の古典的都々逸
江戸時代から明治大正期頃までの、古典的な都々逸を集めてみました。例の通り、独断と偏見で、私の好みのものを集めています。
お楽しみいただければ幸いです。

1.有名人の作品(と伝えられているもの)


 都々一坊扇歌   諦めましたよ どう諦めた 諦めきれぬと諦めた

         こうしてこうすりゃこうなるものと 知りつつ こうしてこうなった

             磯部たんぼのばらばら松は 風もないのに気がもめる

             白鷺は小首傾(かし)げて二の足踏んで やつれ姿を水鏡

             たんと売れても売れない日でも 同じ機嫌の風車

             わたしゃ奥山一もと桜 八重に咲く気はさらにない

             都々逸もうたいつくして 三味線枕 楽に私も寐るわいな (辞世の句と言われている)

           今日の旅 花か紅葉か知らないけれど 風に吹かれて行くわいな

        親がやぶなら私もやぶよ やぶに鶯なくわいな (父親は医者だった)

               来てはちらちら思わせぶりな 今日もとまらぬ秋の蝶

 頼山陽        お月様さえ泥田の中へ 落ちてゆく世の浮き沈み

             井戸の蛙とそしらばそしれ 花も散り込む月も見る

             龍田吉野も見る人なけりゃ 花も紅葉も谷の塵

 河合継之助     九尺二間に過ぎたるものは 紅のついたる火吹き竹

 高杉晋作      苦労する身は何いとわねど 苦労し甲斐のあるように

             三千世界の烏を殺し 主と朝寝がしてみたい

             聞いて恐ろし見ていやらしい 添うてうれしい奇兵隊

             何をくよくよ川端柳 水の流れを見て暮らす

             明けの鐘 ゴンと鳴る頃 三日月形の櫛が落ちてる四畳半

             竜田川無理に渡れば紅葉が散るし 渡らにゃ聞かれぬ鹿の声 

 陸奥宗光 末は袂(たもと)を絞ると知らで 濡れてみたさの春の雨
    (注)「末は袂を絞ると絞ると知れど 濡れてみたさの夏の雨」という説もある。

 小松帯刀      欄干(てすり)にもたれて 化粧の水をどこの捨てよか 虫の声

             雪の肌(はだえ)に氷の刃 露の命の捨てどころ

        嘘も実(まこと)も売るのが勤め 其処(そこ)で買い手の上手下手

 品川弥二郎     花は桜木人は武士と 言うたお方の顔見たい

 柳家三亀松の歌で知られる  
鐘が鳴りました 忍ぶ恋路にせきたつ胸を エーじれったい 夜の雨

    十九や二十の身でないあたし 三日月なりに紅さして 褄とる苦労もあなたゆえ

         食べて寐て いられりゃいる気のあなたと私 誰に気兼ねのない二階

           ひぐらしが鳴けば来る秋 あたしは今日で三晩泣くのに来ない人

            あの虫はいきな虫だよ 蛍じゃないか 忍ぶ恋路の道を照らす

       ほととぎす いきな声して人足を止めて 手をだしゃお前は逃げるだろう




2.四 季


 春の章

浮気うぐいす梅をばじらし わざと隣の桃に鳴く

鶯を留めて しっぽり楽しむ梅を そっと見ている野暮な月

君は吉野の千本桜 色香良けれど気が多い

わたしゃ奥山一もと桜 八重に咲く気はさらにない

咲いた桜になぜ駒繋ぐ 駒が勇めば花が散る

咲いた花なら散らねばならぬ 恨みますぞえ小夜嵐

末は袂を絞ると絞るとしらで 濡れてみたさの春の雨

拗ねて一足 なだめて三足 別れともないおぼろ月

ぴったりと寄り添う身体につながる心 何か言いたい春の夜半

春のひと日をつい飲みたおれ 花とふたり寝して戻る

花は咲いても身は山吹よ ほんに実になる人がない

薔薇も牡丹も枯れれば一つ 花でありゃこそ分け隔て

花が蝶々か蝶々が花か 来てはちらちら惑わせる

春は朧に月影淡く 恋に台詞のいらぬ宵



 夏の章

頭ごなしに冷やかされても 赤い心でいる西瓜

朝咲いてよつに萎れる朝顔さえも 露に一夜の宿を貸す

上を思えば限りがないと 下を見て咲く百合の花

浮いた同士と言われる筈よ 涼み船から出来た仲

逢うて心の曇りも晴れて ふたり眺むる蚊帳の月

蚊帳の寝姿羨ましいか かつら男が来て覗く

寐ても起きても座ってみても 蚊帳の広さと気の狭さ

可愛らしさや蛍の虫は しのぶ縄手に灯をともす

あの虫は粋な虫だよ 蛍じゃないか しのぶ恋路の道を照らす

恋に焦がれて鳴く蝉よりも 鳴かぬ蛍が身を焦がす

可愛がられて撫でさすられて 見捨てられたよ夏火鉢

五月雨の ある夜ひそかに恋路の闇に 主の御見を 松の月

知行万石頂くよりも 夏は裸の夕涼み



 秋の章

あついあついと言われた仲も 三月せぬまに秋が来る

色は良けれど深山の紅葉 あきという字が気にかかる

お月様さえ泥田の水に 落ちてゆく世の浮き沈み

切れた男のやさしい言葉 思い出させる秋の雨

声はすれども姿は見えず 君は深野のきりぎりす

面のにくさよあのキリギリス 思い切れ切れ切れと鳴く

忍び足して閨の戸開けて そっと立ち聞く虫の声

欄干(てすり)にもたれて 化粧の水をどこに捨てよか 虫の声

庭の松虫 音を止めてさえ もしや来たかと 胸騒ぎ



 冬の章

重くなるとも持つ手は二人 傘に降れ降れ夜の雪

お互いの謎がわかって 聞く雪の音 今夜はしんみり酔うつもり

ちらりちらりと降る雪さえも 積もり積もりて深くなる

積もる思いに 何時しか門の 雪が隠した下駄の跡

雪をかぶって寐ている竹を 来ては雀がゆり起こす

雪の降る夜も千鳥は来るに 来ぬと決まりし 畳算

この雪によく来たものと 互いに積もる 思いの深さを差してみる




3.男と女


 恋愛の章

今別れ 道の半丁も行かないうちに こうも逢いたくなるものか

浮いた同士と言われる筈よ 涼み船から出来た仲

逢うたその日の心になって 逢わぬその日も暮らしたい

逢うて心の曇りも晴れて ふたり眺むる蚊帳の月

君は野に咲くあざみの花よ 見れば優しや寄れば刺す

今日はとりわけ逢いとうてならぬ 日々におろかはなけれども

口でけなして心で誉めて 人目忍んで見る写真

拗ねて一足 なだめて三足 別れともないおぼろ月

千両万両の金には惚れぬ お前一人にわしゃ惚れた

誰に見しょとて紅かね着きょぞ みんな主への心中だて

積もる思いに 何時しか門の 雪が隠した下駄の跡

庭の松虫 音を止めてさえ もしや来たかと 胸騒ぎ

惚れた証拠はお前の癖が 何時か私の癖になる

惚れて通えば千里も一里 逢わで帰ればまた千里



 夫婦の章

添うて苦労は覚悟だけれど 添わぬ先からこの苦労

惚れた数から振られた数を 引けば女房が残るだけ

九尺二間に過ぎたるものは 紅のついたる火吹き竹

うちの亭主とこたつの柱 なくてならぬがあって邪魔

朝寝朝酒朝湯に入れて 後はタンスにある保険

ほんにお前が酒好き故に わたしゃ餅焼く暇がない

遅い帰りをかれこれ言わぬ 女房の笑顔の気味悪さ

折々亭主がお世話になると 遠火で焦がさぬ 焼き上手

愚痴も言うまい悋気もすまい 他人の好く人持つ苦労

都々逸は野暮でも やり繰りは上手 今朝も七つ屋で誉められた

浮き名高砂昔となりて 今じゃ互いに共白髪

旦那の忘れた煙管で下女の 部屋から火の手が燃え上がる



 おとなの章

お名は申さぬ 一座の中に 命あげたい方がいる

お互いの謎がわかって 聞く雪の音 今夜はしんみり酔うつもり

金の屏風に墨絵の牡丹 中に二人の狂い獅子

ぴったりと寄り添う身体につながる心 何か言いたい春の夜半

おまはんの心ひとつで、この剃刀が喉へ行くやら眉へやら




4.艶 歌

 都々逸は、旦那衆の芸者遊びの中で発展したので、ちょっとエッチなものや思わせぶりなものもあります。
 どんでん返しにご注意の上、以下の章、( )の部分を考えて下さい。
 答えは、下の「五十音順」にあります。


入れておくれよかゆくてならぬ 私ひとりが(     )

入れてもらえば気持ちが良いが ほんに気兼ねな(     )

夕べしたのが今朝まで痛い 二度とするまい(     )

梅は嫌いよ桜もいやよ ももとももとの(     )

可愛がられて撫でさすられて 見捨てられたよ(     )

可愛いお方に謎かけられて 解かざなるまい(     )

浅い心の女が前に 深いところが(     )

聞いて恐ろし見ていやらしい 添うてうれしい(     )

一目見た時させそに見えて 広げてさせない(     )

久しぶりだよ一番やろう 早く出しなよ(     )

山のアケビは何見て開く 下の(    )見て開く

横に寝かせて枕をさせて 指で楽しむ(     )

忍び足して閨の戸開けて そっと立ち聞く(    )声

雷の光で逃げ込む蚊帳の 中でとらるる(     )

二人手を取り静かに乗りな 行くも行かぬも(     )

ちょいとつまんで拡げて入れて 白い水出す(     )

そこよそこそこ も少し奥と よがる女の(     )

重い身体を身に引き受けて 抜くに抜からぬ(     )




5.繰り返し

 都々逸は謡うので、同じ言葉の繰り返しがあると、リズム感が生まれて心地よい。


諦めましたよ どう諦めた 諦めきれぬと諦めた

こうしてこうすりゃこうなるものと 知りつつこうしてこうなった

それでどうなる そんなにしても そんなときにはそんなもの

惚れて惚れられ なお惚れ増して これより惚れよがあるものか

調子合わせりゃ調子に乗って 調子外れの声を出す

顔見りゃ苦労を忘れるような 人がありゃこそ苦労する

君と寝やろか五千石とろか ままよ五千石 君と寝よ

苦労する身は何いとわねど 苦労し甲斐のあるように

添うて苦労は覚悟だけれど 添わぬ前からこの苦労

わがままするとて叱るは無理よ わがままする人他にない

酒は飲み遂げ浮気をし遂げ ままに長生きし遂げたい




6.もっともだ

一生懸命駆けてはみたが どうも馬にはかなわない

大きな時計と小さな時計 どちらも時間は同じだ

可哀相だよズボンのおなら 右と左に泣き別れ

長い咄をつづめて云えば 光源氏が生きて死ぬ

一人で寐るのは寐るんじゃないよ 枕かついで横に立つ

胸に手を当て思案をすれば 親父乃公(おれ)より年が上

米が高いのに双子が生まれ お米(よね)お高と名を付けた

下手な剣術のろまな夜這い いつもしないで叩かれる